
インドは、世界有数のIT大国としてオフショア開発市場で圧倒的な存在感を示しています。GoogleやMicrosoftなど世界的企業のCEOを輩出し、その技術力は実績で証明されている国です。日本企業にとっては、ベトナムやフィリピンとは異なる強みを持つ選択肢として注目を集めています。
一方で、人月単価の高さや日本語対応人材の少なさなど、導入にあたって理解しておくべき特徴も存在します。インドオフショア開発の成功には、その強みと課題を正しく把握することが不可欠です。
本記事では、インドがオフショア開発先として注目される理由から、メリット・デメリット、費用相場、向いているプロジェクトの特徴まで詳しく解説します。自社のオフショア開発先選定の参考にしてください。
インドは1980年代からアメリカを中心にIT技術を輸出してきた歴史を持ち、オフショア開発の先駆者ともいえる存在です。近年は技術力の高さだけでなく、豊富な人材リソースや英語でのコミュニケーション能力も評価されています。
ここでは、インドがオフショア開発先として注目される3つの理由を解説します。
インドのIT技術者数はアメリカに次ぐ世界2位であり、日本の約2倍にあたる212万人以上のエンジニアが活躍しています。インド工科大学(IIT)をはじめとする高等教育機関が充実しており、毎年150万人以上の工学系卒業生が輩出されている点も大きな強みです。
GoogleやMicrosoft、Adobe、IBMといった世界的IT企業のCEOをインド系人材が務めており、その技術力は世界最高水準であることが実績で証明されています。AI、機械学習、クラウドコンピューティング、基幹システム開発など、先端技術分野で特に強みを発揮します。
また、インドではカースト制度の影響でIT業界が能力主義の新しい産業として人気が高く、優秀な人材が集まりやすい環境が整っています。エンジニアは「人生を変えられる職業」として憧れの対象であり、意欲的な人材が多いのも特徴です。
インドでは英語が公用語の一つであり、ビジネスシーンでは英語が標準的に使用されています。エンジニアも高い英語力を持っており、ドキュメント作成やミーティングでのコミュニケーションに支障がありません。
グローバル展開を視野に入れたプロジェクトや、英語ベースの開発体制を構築できる企業にとって、インドは非常に相性の良い委託先といえます。多国籍チームでの開発においても、英語を共通言語として円滑なコミュニケーションが可能です。
欧米企業との取引が中心であるため、国際的なビジネス慣行にも慣れており、グローバルスタンダードに沿った開発プロセスを採用している企業が多い点もメリットです。
インドは1980年代からアメリカを中心にIT技術を輸出してきた長い歴史を持っています。2000年問題対応の際には、世界中からプログラム修正の依頼が集中し、その対応力が高く評価されました。
TCS、Infosys、Wiproなど、世界的に有名な大手IT企業がインドに本社を構えており、SAPをはじめとした大規模業務システムや基幹システム開発で多数の実績を積み上げています。これらの経験が、高度な案件を任せられる信頼の裏付けとなっているのは間違いありません。
日本市場向けの実績はまだ欧米ほど多くありませんが、近年は日本企業からの注目も高まっており、日本向けサービスを強化するインド企業も増えています。
インドオフショア開発には、他の国では得られない独自のメリットがあります。特に、高度な技術力と大規模なリソースを必要とするプロジェクトにおいて、その強みが発揮されます。
ここでは、インドでオフショア開発を行う4つのメリットを解説します。
インドには、AI、機械学習、ビッグデータ分析、クラウドインフラ構築など、先端技術に精通したエンジニアが豊富に存在します。日本国内では人材確保が難しい専門分野でも、インドであれば対応可能なケースが多いです。
そのため、ベトナムやフィリピンでは対応が難しい大規模業務システムやSAP導入など、高度な業務知識と技術力が求められる案件において、インドは最適な選択肢となります。世界トップクラスの技術力を活用できる点は、他国にはない大きなメリットです。
また、最新技術のキャッチアップも早く、新しいプログラミング言語やフレームワークへの対応力も高い傾向にあります。
インドには日本の約2倍のエンジニアが存在し、大企業が開発を請け負う傾向があるため、大小さまざまな案件を経験した人材が育ちやすい環境が整っています。
数十人から数百人規模のチーム編成も可能であり、大規模システム開発に対応できる柔軟なリソース確保が可能です。複数フェーズにまたがる継続的な開発においても、安定した体制を維持できる点が強みといえます。
また、エンジニアの層が厚いため、プロジェクトの途中で人員を増強する必要が生じた場合にも、迅速な対応が期待できます。
インドの人月単価は他のアジア諸国より高い傾向にありますが、高い技術力により工数を削減できるケースがあります。ベトナムで80人月かかる案件がインドでは60人月で完了することも珍しくありません。
大規模案件においては、高い単価でも工数削減によってトータルコストでメリットが出やすい特徴があります。また、日本国内の同等技術を持つエンジニアと比較すれば、依然としてコストメリットは十分にあります。
コスト削減を第一目的とする場合は他国が適していますが、技術力と品質を重視しつつコストも抑えたい場合には、インドは有力な選択肢となります。
インドオフショア開発は、ラボ型開発との相性が良く、専属チームを確保して継続的な開発体制を構築しやすい特徴があります。初期の立ち上げコストを回収し、長期的な価値を得られるモデルに適しています。
加えて欧米企業との協業経験が豊富なため、単なる外注先ではなく、戦略的パートナーとしての関係構築に慣れている企業が多い点もメリットです。ビジネスの成長に合わせて柔軟にチーム規模を調整できる体制も整っています。
短期の単発案件よりも、数年単位での継続的なパートナーシップを構築したい企業に適した開発先といえます。
インドオフショア開発には多くのメリットがありますが、導入にあたって理解しておくべき課題も存在します。事前に対策を講じることで、これらのデメリットを軽減することが可能です。
ここでは、インドでオフショア開発を行う際の4つのデメリット・注意点を解説します。
インドのプログラマー人月単価は約53万円であり、ベトナム(約39万円)やフィリピン(約32万円)と比較すると高い水準です。インドのプログラマーは欧米からの需要拡大を受けて、単価は上昇傾向が続いています。
そのため、小規模案件やコスト削減を最優先する場合は、ベトナムやフィリピンなど他の国を選択した方が適している場合があります。インドは高い技術力を必要とする案件や大規模プロジェクトにおいて、その価値を発揮する選択肢にするなど、使い分けをするとコストのバランスが良くなるでしょう。
また、シニアエンジニアやブリッジSE、PMなど上位職種の単価は更に高くなるため、予算計画には十分な注意が必要です。
インドの開発企業は欧米市場を主なターゲットとしており、日本語に対応できるエンジニアは限られています。日本企業との取引実績がまだ少ない企業では、日本語でのコミュニケーションが困難な場合があります。
そのため、インドでのオフショア開発を検討する場合は日本企業との取引実績がある開発会社を選ぶか、社内に英語でコミュニケーションできる体制を構築することが必要です。日本語対応可能なブリッジSEを確保できるかどうかも、委託先選定の重要なポイントとなります。
英語でのコミュニケーションに不安がある場合は、日系のオフショア企業を介してインドの開発リソースを活用する方法も検討に値します。
日本とインドの時差は3時間30分であり、ベトナム(2時間)やフィリピン(1時間)と比較すると大きくなっています。リアルタイムでのコミュニケーションには、ミーティング時間の調整など工夫が必要です。
また、インドでは時間に対する感覚が日本と異なり、納期に対してルーズな傾向があるため、進捗管理には特に注意が求められます。余裕を持ったスケジュール設定と、こまめな進捗確認が重要です。
加えて、宗教的な祝日も日本とは異なるため、プロジェクトスケジュールを組む際には、インドの祝日カレンダーを確認しておくことをおすすめします。
インド人は自己主張が強く、合理的な進め方を好む国民性を持っています。日本の「空気を読む」文化とは大きく異なるため、コミュニケーションスタイルの違いを理解しておく必要があります。
文化の違いを理解し、曖昧な指示を避けて明確に伝えること、こまめな進捗確認で認識のズレを防ぐことが、プロジェクト成功には欠かせません。基本的に「言わなくても伝わる」という前提は通用しないと考えた方が良いでしょう。
また、宗教的な習慣への配慮も必要です。ヒンズー教やイスラム教など多様な宗教が共存しており、食事や祝日に関する配慮が求められる場合があります。
インドオフショア開発の人月単価は、他の主要国と比較すると高めの水準にあります。以下の表は、職種別の人月単価の目安です。
| 職種 | 人月単価(目安) |
| プログラマー | 約53万円 |
| シニアエンジニア | 約62万円 |
| ブリッジSE | 約69万円 |
| PM | 約78万円 |
インドのオフショア開発は欧米からの需要拡大に伴い、全職種で単価は上昇傾向にあります。コスト削減を最優先する場合は他国を検討すべきですが、高度な技術力が必要な案件では、工数削減によりトータルコストでメリットを得られる可能性があります。
インドオフショア開発は、すべてのプロジェクトに適しているわけではありません。その特性を理解し、自社のニーズに合致するかどうかを見極めることが重要です。
ここでは、インドオフショア開発が特に向いている企業・プロジェクトの特徴を解説します。
AI、機械学習、ビッグデータ、クラウドインフラなど先端技術分野のプロジェクトに置いては、インドが最適な選択肢となります。日本国内での人材確保が難しい専門領域においても、インドであれば対応可能なケースが多いからです。
たとえば、基幹システム開発やSAP導入など、高度な業務知識と技術力が求められる案件においても、インドの豊富な実績と経験が活かされます。単純な開発作業ではなく、技術的な提案やコンサルティングも期待できる点が強みです。
技術力を最優先し、コストは二の次という判断ができるプロジェクトには、インドは非常に適した選択肢といえます。
数十人から数百人規模のチーム編成が必要な大規模プロジェクトには、インドの豊富な人材リソースが活きてきます。また、短期の単発案件よりも、複数フェーズにまたがる継続的な開発に適しています。
中長期的なパートナーシップを構築し、専属チームによる継続的な開発体制を確立したい企業にとって、インドは理想的な委託先といえるでしょう。短期的な計画ではなく、初期の立ち上げコストを回収しながら、長期的な価値を得られるモデルに適しています。
小規模な案件を複数発注するよりも、まとまった規模の案件を継続的に発注する方が、インドオフショア開発のメリットを享受しやすくなります。
社内に英語が堪能な人材がいる企業や、グローバル展開を視野に入れたプロジェクトには、インドが適しています。英語ベースでの開発体制を構築できれば、インドの強みを最大限に活かせるためです。
もしも日本語対応が必須の場合は、日本企業との取引実績がある開発会社を選ぶか、日本語対応可能なブリッジSEがいる企業を選定することが重要です。また、日系のオフショア企業を介してインドのリソースを活用する方法も有効な選択肢といえるでしょう。
将来的に海外市場への展開を考えている企業にとっては、英語ベースでの開発経験を積む機会としても、インドオフショア開発は価値があります。
インドは世界トップクラスの技術力を持つIT大国であり、高度な技術を必要とするプロジェクトや大規模システム開発において、その強みを発揮します。GoogleやMicrosoftなど世界的企業のCEOを輩出している実績が、その技術力の高さを証明しています。
一方で、人月単価が他国より高く、日本語対応人材が少ない点には注意が必要です。時差や文化の違いへの対応も求められるため、明確なコミュニケーションとこまめな進捗確認が成功の鍵となります。
インドオフショア開発は、コスト削減を最優先する案件よりも、高度な技術力と大規模リソースを必要とするプロジェクトに適しています。自社のニーズとインドの特性を照らし合わせ、最適なパートナー選びを進めてください。
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