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オフショア開発の失敗事例と原因とは?成功に導くための対策を解説

オフショア開発は、コスト削減やIT人材不足の解消に有効な手段として多くの企業が導入を進めています。しかし、期待通りの成果が得られず、プロジェクトが失敗に終わるケースも少なくありません。

失敗を避けるためには、事前によくある失敗パターンとその原因を理解し、適切な対策を講じることが重要です。失敗事例の多くは、言語や文化の違いに起因するコミュニケーションの問題や、開発会社の選定ミスなど、事前の準備で防げるものがほとんどといえます。

本記事では、オフショア開発でよくある失敗事例とその原因を解説し、プロジェクトを成功に導くための具体的な対策を紹介します。オフショア開発の導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

オフショア開発でよくある5つの失敗事例

オフショア開発の失敗事例は、細かい状況は異なるものの、いくつかのパターンに集約されます。国内開発でも起こりうる問題に加え、海外特有の要因が重なることでトラブルが発生しやすくなる点が特徴です。

ここでは、オフショア開発でよくある失敗事例を5つ紹介します。

  • 納期が守られず大幅に遅延した
  • 成果物の品質が期待を下回った
  • コスト削減のはずが予算を超過した
  • 仕様と異なるものが納品された
  • 開発会社と連絡が取れなくなった

納期が守られず大幅に遅延した

オフショア開発で最も多い失敗の一つが、納期の大幅な遅延です。初期段階で要件が十分に整理されておらず、開発途中で追加開発が必要になるケースは、国内開発でもよく見られる問題といえます。

海外特有の原因としては、委託先の国によって納期に対する意識が日本ほど厳しくない点が挙げられます。日本では「残業してでも納期を守る」という文化がありますが、海外ではそのような働き方は一般的ではありません。

また、現地の祝日やインフラの問題も遅延の原因となります。停電や通信障害が頻繁に発生する地域では、作業が中断するリスクを考慮しておく必要があります。

成果物の品質が期待を下回った

納品されたシステムが正常に動作しない、動作はするがパフォーマンスが悪い、バグが多いといった品質面の問題も頻繁に発生します。仕様の伝え方が不十分だったり、価格面だけで依頼先を選んでしまったりすることが主な原因です。

日本の開発現場では、仕様書に明記されていない内容でも、エンジニアが配慮して実装することがあります。しかし、オフショア開発では「仕様書に書かれたことだけを忠実に作業する」のが一般的です。

この文化の違いを理解せずに発注すると、「当然実装されているはず」と思っていた機能が実装されていない、といったトラブルが発生します。

コスト削減のはずが予算を超過した

コスト削減を目的にオフショア開発を導入したにもかかわらず、結果的に国内開発と同等以上の費用がかかるケースもあります。

予算超過の原因はさまざまです。開発途中の仕様変更による追加工数、為替変動、現地との調整コスト、品質不足による再開発費用などが積み上がり、当初の見積もりを大幅に上回ることがあります。

また、エンジニア以外の人件費も考慮が必要です。通訳やブリッジSE(日本と現地の橋渡し役となるエンジニア)の費用、現地への出張費用などが発生する点を見落とすと、想定外のコスト増につながります。

仕様と異なるものが納品された

依頼した設計とまったく異なるものが納品されるという深刻な失敗事例も存在します。コミュニケーション不足や言語の壁による仕様の誤解が主な原因です。

文化的な背景や開発者のスキルの違いにより、設計に対する理解が異なり、意図しないプロダクトが完成してしまうことがあります。特に、曖昧な表現や専門用語の解釈の違いが、大きなズレを生む原因となりがちです。

このような場合、再開発が必要になり、時間と費用が大幅にかさみます。最悪のケースでは、プロジェクト自体が頓挫することもあるでしょう。

開発会社と連絡が取れなくなった

突然、開発会社と連絡が取れなくなるというリスクも存在します。日本企業との取引に慣れていない企業を選んだり、価格の安さだけで取引先を選んだりするとリスクが高まる傾向にあります。

また、コンプライアンスやセキュリティ対策への意識が低い委託先では、情報漏洩などのリスクも発生します。開発途中でソースコードや顧客情報が流出するといった深刻な問題につながる可能性も否定できません。

信頼性の低い開発会社を選んでしまうと、プロジェクトの途中で会社が倒産する、担当者が突然退職するといった事態に見舞われることもあります。

オフショア開発が失敗する3つの原因

オフショア開発の失敗には共通する原因があります。国内開発でも起こりうる問題に加え、海外ならではの要因が複合的に絡み合うことで、トラブルが発生しやすくなります。

ここでは、オフショア開発が失敗する主な原因を3つの観点から解説します。

  • コミュニケーションのズレ
  • 管理体制の不備
  • 開発会社の選定ミス

コミュニケーションのズレ

オフショア開発の失敗原因として最も多いのが、コミュニケーションのズレです。言語の違いだけでなく、文化や商習慣のギャップにより「お互いの普通」の感覚がズレている点が根本的な問題といえます。

日本は「高コンテクスト文化」と呼ばれ、曖昧な表現でも文脈から意図を読み取る「暗黙の了解」が通用します。しかし、海外では明確に言語化しなければ伝わりません。「察してほしい」という期待は通用しないことは理解しておくべきでしょう。

また、ブリッジSEの日本語能力にも注意が必要です。日常会話は問題なくても、技術的な細かいニュアンスや業界特有の表現が正確に伝わらないケースがあります。

管理体制の不備

言語や文化の違いによるコミュニケーションの齟齬を前提として、品質を担保するための管理体制を構築することが重要です。コード品質のレビュー体制、テスト体制、進捗管理が機能していない場合、さまざまな問題が発生します。

具体的には、仕様書通りの動作はするがパフォーマンスが悪い、リリース後にバグが多発する、といった品質面の問題が顕著に現れます。定期的なチェックがなければ、問題が最終段階まで発見されず、大きな手戻りが発生するでしょう。

さらに、オフショア開発ではメンバーの入れ替わりが頻繁に起こることがあります。担当者が変わるたびに引き継ぎが不十分だと、品質低下や納期遅延につながります。

開発会社の選定ミス

依頼内容と合わない開発会社を選んで丸投げしてしまうことで、プロジェクトが失敗するケースも多く見られます。

開発会社にも得意分野があり、実績や技術力を確認せずに価格だけで選定すると、失敗リスクが大幅に高まります。たとえば、Webアプリケーション開発を得意とする会社に組み込みシステムの開発を依頼しても、期待通りの成果は得られません。

また、日本企業との取引経験が少ない会社を選ぶと、商習慣の違いからトラブルが発生しやすくなります。日本特有の品質基準や納期に対する意識を理解していない会社との協業は、想像以上に困難です。

オフショア開発を成功させるための対策

オフショア開発の失敗原因を理解した上で、適切な対策を講じることでプロジェクトの成功率を高められます。これには、発注側と開発側の双方が協力し、失敗を未然に防ぐ体制づくりが重要です。

ここでは、オフショア開発を成功に導くための具体的な対策を解説します。

  • 仕様書・要件定義を明確にする
  • コミュニケーションルールを整備する
  • 品質管理・進捗管理体制を構築する
  • 信頼できる開発会社を選定する
  • 小規模プロジェクトから始める

仕様書・要件定義を明確にする

曖昧な仕様書では、想定と異なる成果物が納品されるリスクが高まります。オフショア開発では「仕様書に書かれていないことはしない」という姿勢で開発が進められることを前提に、細かく明確な指示を行う必要があります。

仕様書には、機能要件だけでなく非機能要件(パフォーマンス、セキュリティ、保守性など)も明記しましょう。画面イメージやワイヤーフレーム、具体的な操作例を添付することで、誤解が生じるリスクを大幅に減らせます。

「日本では当たり前」と思っている要件も、明文化しなければ伝わりません。細かすぎると感じるくらい詳細な仕様書を作成することが、成功への第一歩です。

コミュニケーションルールを整備する

定期的なミーティングの実施、連絡手段やレスポンス期限の明確化、進捗報告のフォーマット統一など、コミュニケーションルールを事前に整備することが重要です。

具体的にはブリッジSEの日本語能力やコミュニケーション能力を事前に確認し、細かなニュアンスが伝わる体制を構築しましょう。可能であれば、プロジェクト開始前に実際に会話してスキルを確認することをおすすめします。

SlackやTeams、Backlogなどのオンラインツールを活用したリアルタイムでの情報共有も有効です。時差がある場合でも、非同期でコミュニケーションが取れる環境を整えておくと、スムーズにプロジェクトを進められます。

品質管理・進捗管理体制を構築する

開発の各フェーズでのテスト徹底、定期的なコードレビュー、進捗確認の仕組みを構築することで、品質を担保できます。

テスト環境でプロトタイプを確認しながら進めることで、最終段階で大きな手戻りが発生するリスクを減らせます。「完成してから確認する」のではなく、開発途中で頻繁に成果物をチェックする体制が重要です。

マイルストーンを細かく設定し、各フェーズの完了時に成果物を確認することで、早期に問題を発見・対処できます。週次での進捗報告を義務付けるなど、定期的なチェックポイントを設けましょう。

信頼できる開発会社を選定する

価格だけでなく、過去の実績、得意分野、技術力、日本企業との取引経験を確認して開発会社を選定することが重要です。

まずは依頼したいプロジェクトの内容と開発会社の実績がマッチしているかを確認しましょう。選定時は類似プロジェクトの実績がある会社を選ぶことで、スムーズな開発が期待できます。

セキュリティ対策やコンプライアンス意識も重要な確認ポイントです。情報セキュリティの認証(ISO27001など)を取得しているか、機密情報の取り扱いルールが整備されているかを確認してください。複数の開発会社から見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。

小規模プロジェクトから始める

いきなり大規模なプロジェクトを委託するのではなく、小規模なプロジェクトから始めて信頼関係を構築するアプローチが有効です。

開発会社の実力やコミュニケーションの取りやすさを確認した上で、徐々に規模を拡大していくことで、大きな失敗を避けられます。最初のプロジェクトで相性が合わなければ、別の会社を検討することも可能です。

ラボ型契約を活用し、長期的なパートナーシップを構築する方法も有効です。専属チームを確保することで、プロジェクトごとに新しいメンバーを探す手間が省け、ノウハウの蓄積も期待できます。

まとめ

オフショア開発の失敗は、コミュニケーションのズレ、管理体制の不備、開発会社の選定ミスなど、共通する原因によって引き起こされます。これらの原因を理解し、適切な対策を講じることで、プロジェクトの成功率を大幅に高められます。

成功のポイントは、仕様書・要件定義の明確化、コミュニケーションルールの整備、品質管理体制の構築、そして信頼できる開発会社の選定です。小規模プロジェクトから始めて実績を確認しながら、段階的に規模を拡大していくアプローチが有効です。

オフショア開発の導入を検討している場合は、日本企業との取引実績が豊富で、コミュニケーション体制が整った開発パートナーを選び、オフショア開発の失敗を回避するプロジェクトを計画しましょう。

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